2012年5月3日木曜日

ドイツの太陽電池メーカー Qセルズの破綻


「一時は世界最大の太陽電池メーカーに上り詰めたドイツのQセルズが3日、裁判所に破産を申請した。同国の太陽電池大手の破産申請は昨年12月以降で4社目。」(「独Qセルズが破産申請へ-国内太陽電池大手の経営破綻相次ぐ、4月3日(ブルームバーグ)」
Qセルズは、2010年に世界で第6位、ドイツで第1位の太陽電池メーカーである。福島第一原発の事故が起こり、再生可能エネルギーが注目されているにもかかわらず、関連する企業の倒産や、株価の暴落が続いている。

その原因は、太陽電池メーカーの多くが国の補助金によって成り立っている企業であり、ヨーロッパの金融危機で、補助金の削減が必至だからである。ヨーロッパの金融危機は、一時的には収まっているようには見える時もあるが、依然として解決にはほど遠い。
また、この産業は、参入が比較的容易で、中国企業の参入が相次ぎ、ドイツ企業など先進国企業は競争力を失いつつあるからである。これは日本企業も同様である。2010年には、上位5社のうち、中国企業が4社を占めていた。この中国企業の場合でさえ、その株価は暴落している。例えば、2001年に設立されたSuntechは、2007年12月には85ドルであったが、今日は、わずかに2.7ドルである。
さらに、期待されるもうひとつの再生可能エネルギーである風力企業も事態は同様である。最大のグローバル企業で1世紀以上の歴史を持つVestasの株価は、2008年8月には700 Danish krone (DKK)であったが、今日は48DKKである。風力産業でも中国企業は急成長している。しかし、世界第2位の企業、Sinovel Wind Groupは2011年はじめには、80 Chinese yuan (CNY)であったが、やはり現在は16CNYまで下落している。
このような株価の急落は、再生可能エネルギー企業に対する市場の評価を示している。

日本では、7月1日から「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」が発足するが、その価格が高く、それがある程度長期になることが予想される。それは、日本でシャープや京セラなどの既存の再生可能エネルギー企業や、新規に参入するベンチャー企業を一時的には保護し育成することになるかもしれない。しかし、上記のドイツ企業などの状況を見れば明らかなとおり、補助金などに依存した企業は、結局長期的な発展は難しい。
買取制度をできるだけ一時的な制度にし、すみやかに競争的な環境に戻すことが望まれる。また、同時に、再生可能エネルギー企業の現状を踏まえた、現実的で包括的なエネルギー政策が求められる。

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