2012年9月7日金曜日

竹島領有権問題:「識者の歴史対話」が必要

李明博韓国大統領が大統領としてはじめて日本の竹島に上陸しただけではなく、さらには天皇に謝罪を要求し、この問題に対する日本政府の親書を突き返すという、唐突な行動が次々と起こされた。
ほぼ同じ時期に起こった、香港の団体による日本の尖閣諸島への侵入に対し、中国政府は比較的冷静に、直接の侵入者とは異なった対応を取った。韓国は、中国とは対照的に、大統領自身が民族意識を扇動し、そのためには日韓の共通の利益を踏みにじろうとしているという点で、きわめて異常な事態である。
大統領の在任末期に大統領周辺の汚職が明らかになり、それへの批判を回避するために、反日意識を煽るということがまたもや繰り返された。韓国の経済が急速に発展し、民主主義的に選出された政権が支配するようになったにも関わらず、事態は一向に改善していない。(この点については、週刊ニューズウィークキノネス(国際教養大学教授、元米国務省朝鮮半島担当官)氏の記事がある)
大統領の今回の行動は、日韓関係の現実を無視し、民主主義的なプロセスも経ず、単に人気取り的な行動で、韓国の民主主義が依然として成熟していないことを示していると言わざるをえない。
これに対して、領土問題に反応の鈍かった日本の民主党政権の対応もさすがに明白になり、竹島問題を国際司法裁判所に提起することになった。当然のことと言えるだろう。
しかし、韓国の現状を見る限り、この問題の解決には相当の時間がかかると思われる。
こうした状態を少しでも改善するためには、経済学者をはじめその他さまざまな分野の研究者が、北岡伸一・政策研究大学院大学教授も主張されるように識者の歴史対話を進める必要があると思われる。その場を含め韓国社会に広く、日本の研究者の研究成果を提出し、できるだけ多くの韓国人の理解を得ることが求められる。
その課題は、もちろん第1に竹島問題があるだろう。これは、国際司法裁判所への提訴と一体に進めなければならない。
第2に、現在の日韓の経済関係についてである。韓国経済の発展に不可欠な役割を果たし続けているのは日本である。戦後も一貫してそうであったが、最近では、日韓の通貨スワップ協定は韓国経済が一時的な危機に陥った時に支える大きな役割を果たすだろう。また、日本からの輸出は、今なお韓国の経済を支えている重要な要因である。
第3に、戦前の植民地時代についての評価である。日本はこの時代に巨額の投資を朝鮮全域に行い、朝鮮経済の近代化に大きく貢献した(新保博彦)。この時期に、韓国人による重要な企業も生まれ、韓国の資本主義は大きく発展した。この点については、第三者的な立場でもあるエッカート教授による有名な研究がある。

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