2020年9月29日火曜日

原雅幸 3枚の写実絵画

 『写実絵画の新世紀 ホキ美術館コレクション』(別冊太陽、2016年)に掲載されている画家で、私が森本草介さんとともに好きな画家が原雅幸さんである。残念ながら、原さんの最近の公刊された画集を見つけられなかった。

そこで、このブログでは、原さんの同書に掲載されている3つの作品を紹介したい。まず原さんのプロフィールから。「一九五六年、大阪府泉南郡生まれ。一九七九年、多摩美術大学卒業。・・・一九九八年、渡英。二〇〇五年、エディンパラに移住。二〇〇六年、第一回リアリズムの世界(飯田美術 以後毎年)。二〇〇九年、ざ・てわざー未踏への具象ー展(日本橋三越)。」(同書、159ページ)

最初に紹介する作品は、上の「クリストファーロビンの聲」、「イギリス南東部のケントの風景」だそうだが、左側の大木から、木の葉、そして敷き詰められた落ち葉まで、ひとつひとつが細かく正確に描かれている。おそらく気の遠くなる作業だろう。このような森に入れば、落ち葉を踏みしめながら、森のずーっと先をめざして、そこに何が見えるかを楽しみに進むだろう。大樹の根の下には、たくさんのウサギの巣の穴が見え、一瞬クリストファー・ロビンの楽しそうな声が聞こえるようだと言う。左側の大木群の向こうにはぐっと開かれた場がありそうだが、そこから光が差し込む。森の多い日本では、この様な風景はあちこちに見られるように思える。

今度は、1枚目とも3枚目とも異なって全体が深い雲に覆われた暗い絵、「モンテプルチアーノ」である。「標高600メートル余りの小高い丘の上にある城壁に囲まれた美しいトスカーナの町」モンテプルチアーノ。トスカーナはよく知られているワインの産地だが、モンテプルチアーノは、イタリアの赤ワイン用ブドウ品種名でもある。丘の上の教会か修道院に、原さんは神を見たというが、私には信仰と権威と権力の象徴であるように見える。全体の色調は暗いが、右上の雲間から差し込む、最初の絵と同様な太陽の強い光が、緑の大地を明るく照らしている。

最後の1枚は「羊のいる風景」、今度は、おそらく原さんが住んでいる、「スコットランド南部の早春の風景」である。最初の絵とは異なってスコットランドなので、早春とは言えかなり寒いはずだが、森と草原の全体に深く光が差し込んでいるから、とても暖かそうに感じる。木々や木の葉だけでなく、草を無心に食んでいる羊の毛までひとつひとつが細かく描かれていて、暖かさをいっそう強く感じる。

『写実絵画の新世紀』を見ればすぐにわかるように、写実絵画と言っても、写実の方法も対象も画家によってとても異なる。ほんとうに写実絵画という分類が出来るだろうかとさえ思える。
原さんは、「ただ美しい風景では自分の絵にできない。何か気になるものが潜む風景でしか私の絵にならない」(58)と語る。私は、原さんの何か気になるものが潜む風景になぜか共感し、そこにいるかのようにさえ感じられる。
多くの方にも、『写実絵画の新世紀』では、見開き2ページで大きく細かく見ることにできるので、この3作品をぜひ見ていただきたいと思う。

なお、森本草介さんの絵と画集についても、私のブログであわせてご参照ください。:森本草介『光の方へ』(2018.12.4)

2020年9月13日日曜日

縦型ディスプレイを購入、とても快適、おすすめです

画面右側の縦型のディスプレイを購入した。機種は、マウスコンピューター iiyama モニター ディスプレイ XUB2792HSU-B1Dである。解像度はフルHD, 1920x1080px、左のディスプレイも同じ解像度である。この数値から見ると、高さはほぼ倍に、横幅は半分になっている。並べて見ると、机の上はアンバランスで、何か不自然な感じはするが、後に見るように、使い勝手はとても良い。

歳を取るにつれ、画面の文字がどんどん見にくくなり、まずWindowの設定で、全体を125%の設定にした。それはそれでとても良かったが、今度は縦型のデータが見にくくなってきた。
そこで、縦型に設置できるディスプレイを探して、この製品を購入した。ちなみに縦型にできる機能を、マウスコンピュータではピボット機能と呼んでいる。なお、2つの画面ともChromeでは100%の表示である。

設置してまずは驚いた。こんなに下の方までよく見える。右は私のwebsiteだが、スマホでも比較的見やすいように、横幅を800pxに設定しているので、ぴったりで作業がとてもやりやすい。最初の画像にあるように、横型だと横幅に十分な余裕があるが、作成が進むと、かなり下までスクロールする必要がある。

左は、私のブログである。横幅は960pxに設定している。ちょうど1回分が収まってくれる。今も新ディスプレイで作業しているが、とてもやりやすい。
他方、左側に置く横型のディスプレイでは、これまで通り主な作業である文書・表の作成やメールの読み書き等を行っているが、特に問題はない。

ディスプレイは、テレビもそうだが、高性能のものがどんどん安くなっている。まずは2つを並列して使い、場合によっては並列し、ひとつは縦型にするととても仕事が進む。ぜひお薦めしたい。
なお、2画面や縦型の設置の作業はとても簡単である。