「エッカート『日本帝国の申し子』、Carter J. Eckert, Offspring of Empire」を今年1月4日に書いて以来、この時期は大学教員にとって最も忙しい時期だったので、残念ながらこのブログに新たなページを書くことができなかった。それでも、忙しい時期の少しの空いた時間に、気分転換にブルーレイを見たり、音楽を聴くことは楽しみである。
やはりこの時期にもう一度見て聞きなおしたのは、アマデウスだった。アマデウスは、私の最も好きな映画で、おそらくこれまで最も繰り返し見た作品だろう。
アマデウスは、1984年の第57回アカデミー賞の作品賞と、F・マーレイ・エイブラハムの主演男優賞、ミロシュ・フォアマンの監督賞、ピーター・シェイファーの脚色賞、など多数の賞を獲得している。
この映画の最大の見所は、モーツァルトの並外れた天才ぶりと、モーツァルトの才能を目の当たりにした、モーツァルトが登場する前にウィーンで活躍していたサリエリの心の葛藤だろう。サリエリはモーツァルトの才能に嫉妬し、殺人さえもを試みる。
ストーリーはもちろん創作だが、あまりにもよくできているために、史実であるかのように錯覚する。
「アマデウス」では、モーツァルトの作品があらゆる場面で演奏されており、モーツァルトを理解できる最も重要な作品ともなっている。
そこで、モーツァルトの三大オペラから取られ、この映画で用いられている、私の最も好きな有名な曲を紹介してみたい。何かの機会にお聞きいただければ幸いです。ちなみに、以下で画像として紹介するCDは各オペラの代表的なハイライツCDである。
第27章、フィガロの結婚(1786)、「フィナーレ:ま、お静かに、ちょっと待ってくれー誰か来ーい、武器を持って来い、FINALE: Pace, pace, mio dolce - Gente! all'armi! (Tutti)」で、モーツァルトの作品の中でも最も美しいひとつとされる合唱が歌われる。「神がこの小男を通じて、天上から世界に歌いかけていた」とサリエリはつぶやく。
第30章、ドン・ジョバンニ(1787)、「ドン・ジョヴァンニ、晩餐に招かれたので参った、“Don Giovanni, a cenar teco m'invitasti」, (騎士長、ジョヴァンニ、レボレロ、合唱)。
サリエリは「舞台に現れる死んだ騎士長の姿、・・・あの恐ろしい亡霊は墓から甦った父レオポルド」だとし、「恐ろしくもすばらしい作品だった」と言う。この曲で、サリエリは殺人を具体的に考えたことになっている。
そして最後に、第39章、魔笛(1791)、「恋人か女房があればいいが(パパゲーノ)、Ein Mädchen oder Weibchen (Papageno)」。
この曲が演奏されている途中に、「アマデウス」でのモーツァルトは倒れる。エマヌエル・シカネーダーのすすめで、「魔笛」にはこの曲を含め一般の聴衆が楽しめる趣向が凝らされている。その意味で、この3つのオペラで、最も多彩な曲で構成されていて楽しい。
また、これからも何度も聞き続けていくのだろう。
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