内容は以下の4つの論文から構成されています。
第1章 グローバル・サウスはグローバルな諸課題に対応できるか:グローバル・サウスを代表する9か国、(キーワード:グローバル・サウス、非同盟諸国会議(運動)、経済統合、発展途上国の累積債務問題)
第2章 インドはグローバル・サウスを導けるか?:インド企業の先進性と後進性、(キーワード:グローバル・サウス、財閥、コングロマリット、国有企業、外資系企業)
第3章 輸入代替工業化からモディ政権へ:戦略転換を終えたインドは自由化を推進できるか、(キーワード:輸入代替工業化、モディ政権、経済自由化、メイク・イン・インディア(Make in India)、ヒンドゥー至上主義)
第4章 BRICSという幻想:独裁国家ロシア・中国とその他の国の懸隔、(キーワード:BRICS、非同盟諸国会議(運動)、輸出志向工業化戦略、グローバル・サウス、宥和政策)
本論文集は、グローバル・サウスを、多くが世界の南側に位置する発展途上国による、グローバルな諸課題に取り組む、新たな政治的・経済的な連携ととらえている。それに該当する国は、発展途上国各国の経済・政治の基本指標を用いて、アルファベット順に、ブラジル、インド、インドネシア、メキシコ、サウジアラビア、シンガポール、南アフリカ、タイ、アラブ首長国連邦の9か国とした。
今、さっそくこれらの国が貢献しなければならない緊急の課題がある。10月7日に始まったハマスとイスラエルの戦争である。特に、グローバル・サウスの中でも、アラブ諸国のサウジアラビアとアラブ首長国連邦は、積極的に解決への道筋を切り開くことが求められている。
実はハマスの突然の大規模な攻撃は、アラブ首長国連邦・バーレーンとイスラエルとのアブラハム合意による急速な関係改善への動きと、そしてサウジアラビアも同様の道を進むかもしれないとの憶測があり、それらの動きによってハマスが孤立化に向かうことへの反発によると言われている。
(注)アブラハム合意(The Abraham Accords Declaration)
以下のアメリカ国務省のサイトでの各文書を参照。 ISRAEL-UAE AGREEMENTが最も包括的で詳しい。https://www.state.gov/the-abraham-accords/