上の図は、ユーラシア・グループによる2020年から5年間の10大リスクをまとめたものである。 (写真は、ユーラシアグループから、https://www.eurasiagroup.net/services/japan)
この5年間の変遷から、以下のような点が指摘できる。
1)ユーラシアグループの10大リスクは、他の調査機関には見られない、グローバルな政治・経済・社会の諸課題に対して包括的な分析を行っている。
2)しかし、表外に指摘したように、調査が発表した後に、調査では予測した以上の深刻な結果が生まれた。最近の主なものは、ロシアのウクライナ侵略と、ガザでの戦争である。それは予測がいかに困難かを改めて示している。
3)各年の変化を明らかにするために、同じテーマについては、各項目ごとに同じ色で、その変遷を示している。
4)今年最大のリスクはアメリカとされている。アメリカの分断については、比較的下位に位置していた昨年を除き一貫して上位で、分断は極めて根深く、早期に解消する見込みはなく、分断が国際的に与える影響も甚大である。その意味では、間違いなく重大ではあるが、次の課題に比べてその位置が妥当か、議論が分かれる。
5)ロシア、中国、ならず者国家問題が、2024年はやや後退している感がある。ロシアのウクライナ侵略が、「分割」として3位になり、ロシアが依存する中国が6位に後退した。ロシアと中国、そしてそれらと連携する国々が生み出す、政治的・軍事的・経済的な危機の深刻さは、昨年と比べても変わっていないと、私には思われる。
(ブログのTOP、ブログの目次、新保博彦のホームページ、新保博彦の(YouTube)チャンネル)