書評の全文です。クリックしてご覧ください。
書評の「はじめに」は、その課題を次のように提示している。
「関 智英『対日協力者の政治構想 日中戦争とその前後』(名古屋大学出版会、2019年)は、戦間期中国における対日協力政権を研究した、数少ない包括的で優れた研究である。本書評1では、その最も中心的な内容で、対日協力政権の概観ともなる「緒論」を中心に詳しく紹介したい。
この著作は、書名の通り、対日協力政権の主に政治的な側面を研究の対象にしているが、私はその協力の基礎には、日本の対中投資と、その結果として生まれた企業活動の発展があると考え、“Japanese Companies in East Asia: History and Prospects: Expanded and Revised Second Edition” (2015)をまとめたので、2では、その内容を紹介したい。」
「はじめに
1 『対日協力者の政治構想』について
2 日中間の経済関係から戦間期中国を捉える:Hirohiko SHIMPO, “Japanese Companies in East Asia: History and Prospects: Expanded and Revised Second Edition” (2015)の紹介
おわりに
付表、Shimpo (2015)における各表」
書評の「おわりに」は、次のようにまとめている。
「以上の検討によって、いかに多くの日本企業とその子会社が、戦間期の中国や満洲で活発に活動し、それぞれの地域の経済発展に貢献したかが明らかになるだろう。そして、中国人や満州人が、日本企業で役員や従業員として、さらには投資家として、その企業活動を支えたのかもわかる。また、日本企業とは別に独立して、中国人や満州人が新たな企業を設立した場合も少なくない。
私の研究によれば、関氏が明らかにした、対日協力政権は、このような経済活動の基盤を獲得してはじめて、現地の人々の生活に貢献できたように思われる。この点では、戦間期日本企業の中国・満洲における活動は、現在の日本企業、そして中国企業の海外活動と基本的な性格は変わらないと思われる。」