自民党総裁選挙は、石破茂氏の勝利となった。この結果について様々な評価があるが、私が特に注目したいのは、各都道府県別の党員・党友票の投票結果である。左は、毎日新聞がまとめた図である。
(https://mainichi.jp/articles/20240927/k00/00m/010/326000c、他社にも同様の図はあるが、画像の見やすい図を採用した)
この図から、高市氏が、東京・埼玉・千葉、大阪・京都・兵庫・奈良、愛知・三重、広島、福岡などの主な都市部全体で党員・党友票が一位になり、それに対して、石破氏は鳥取を始め濃い赤色のいわゆる地方で、一位を獲得していることがわかる。
経済成長を公約の中心に据えている高市氏と、地方創生を政策の核心のひとつとしている石破氏の主張の相違がここに反映していると思われる。
また、石破氏は、金融所得課税の強化も重要な政策としているが、すでに日経平均先物が大幅に下落しているように、週明けの市場が動揺することが予想される。
もちろん、各地域内の投票差はそれほど大きく無い場合もあるが、上記の違いは非常に重要な意味を持っている。自民党が今後どの地域の、どのような階層の利益を基盤に成長して行くかが問われているように思われる。
投票結果全般と、詳しい地方別の投票結果は、日本経済新聞「自民党新総裁に石破茂氏 1回目と決選投票の結果詳報、自民党総裁選2024 投開票速報、自民党総裁選2024、2024年9月27日 12:55 (2024年9月27日 19:00更新)」を参照。
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ところで、この選挙は、各メディアが具体的な数字を示した調査をためらっている中、各社に先駆けて発表した読売新聞「読売終盤情勢分析」(2024/09/25 05:00)の予想が特に注目された。この図から、選挙終盤で、小泉候補の後退、高市候補の急伸と、石破・高市候補の接戦が、具体的にあきらかになった。おそらく、この調査を下に、各議員は投票行動を決めたものと推測される。
党員・党友票の行方を全国で明らかにし、かつ国会議員票を予測するという難しい作業を行わず、コメンテーターによる、具体的な数字を示さない感想や、おしゃべりが少なくなかったことは、メディアの信頼を失わせる残念な結果である。
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