NHK名作選 みのがしなつかし 天安門事件 武力鎮圧(動画)
天安門事件とは、「1989年6月3日深夜から4日早暁にかけて天安門広場で発生した「血の日曜日事件」である。・・・同年4月中旬の胡耀邦(こようほう/フーヤオパン)・元中国共産党総書記の死を悼む形で起こった民主化運動は、“最後の皇帝”として君臨しつつあったトウ小平の「人治」に対して「法治」を求める学生や市民の大衆運動であった。・・・同年5月20日には北京市に戒厳令が布告され、ついには「六・四」の武力弾圧として人民解放軍が戦車などを出動させ、学生や市民に発砲するなどして多数の死者を出した。」(中嶋嶺雄)
中嶋氏の簡潔な説明は上記の通りであるが、事件の全貌は未だに明らかにされていない。中日歴史家が明らかにしなければならない、現代中国の闇のひとつである。
天安門事件に参加した劉暁波(リュウ・シャオボー、Liú Xiǎobō)が、2008年に今後の中国を構想して起草したのが、08憲章(Língbā Xiànzhāng)である。
左の「天安門事件から「08憲章」へ」はその全文も含め、劉暁波の基本的な文献となっている。
以下は、08憲章の概要である。(同書、209-227ページ)
一 前書
二、我々の基本理念
中国の未来の運命を決定するこの歴史の岐路に立ち、百年来の近代化の歩みを省みて、下記の基本理念を再び言明する必要がある。
自由、人権、平等、共和、民主、憲政
三、我々の基本的主張
これにより、我々は、責任を担う建設的な公民の精神に基づいて、国家の政治制度、公民の権利と社会発展の各方面について、以下の具体的な主張を提起するものである。
1、憲法改正、2、分権の抑制的均衡、3、立法による民主、4、司法の独立、5、公器の公用、6、人権の保障、7、公職の選挙、8、都市と農村の平等、9、結社の自由、10、集会の自由、11、言論の自由、12、宗教の自由、13、公民教育、14、財産の保護、15、財税改革、16、社会保障、17、環境保護、18、連邦共和、19、正義の転換
四、結語
署名規則
一 本憲章は公開署名とする。
二 本名または常用のペンネームで署名し、所在地と職業を明記されたい。
署名者:303名(第一次)
署名規則
一 本憲章は公開署名とする。
二 本名または常用のペンネームで署名し、所在地と職業を明記されたい。
署名者:303名(第一次)
ところで、日本では、中国との友好関係を重視するという立場から、中国の民主化に対する支援が著しく弱い。天安門事件の報道は少なく抑制的で、弾圧された人々への支援も非常に弱い。
さらに以下のような意見まで登場している。三浦瑠麗氏は、これまでの日本の四つの選択肢の問題点を指摘し、「沖縄をアジアの首都にするために、日本は大胆に身を切り、当該地域の主権を返上するくらいの構想力が必要・・・、沖縄の当該地域の安全と治安はアジア多国籍軍と多国籍警察に委ねてもよいでしょう。」(「日本に絶望している人のための政治入門」、p.235)
このような意見に基づけば、中国の対外支配と共産党独裁体制が拡大し、日本を中心とする東アジアの自由と民主主義を後退させることは言うまでもない。
特に、ここで指摘したいのは、彼女が現在の中国の共産党独裁が不安定で、さらに歴史的には一時期の体制であることを理解していないことである。中国に共産党支配が確立したのは1949年で、まだ非常に短期間である。その期間中にも何度も解体の危機に見舞われている。中ソ対立、文化大革命、そして天安門事件などである。
詳しくは、英語論文ではあるが、私の戦間期中国を検討した以下の論文を参照していただきたい。
Hirohiko Shimpo, Japanese Companies in East Asia: History and Prospects.
Hirohiko Shimpo, Japanese Companies and Investment in China during the Second Half of the Inter-war Period Ver.2
このような過去の経験を踏まえ、中国が08憲章をひとつの土台としたような自由と民主主義の体制、自由な市場と企業活動を確立することを支援し、アジアの自由と民主主義、自由な市場と企業活動を発展させることが、今強く求められている。
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