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Huaweiのセグメント情報をみてみると、ビジネス別では、通信事業者向けネットワーク事業が49.3%、コンシューマー向け端末事業が39.3%である。地域別では、中国が50.5%であるが、欧州、中東、アフリカ(EMEA)が27.1%と高く、南北アメリカは6.5%とまだそれほど高くない。
問題は株主である。Huaweiは、「従業員の全額出資による民間企業」として株式を公開してない。このように巨大な企業が非公開なのは、中国でさえしだいに例外になりつつある。創業者任正非の持株は1.4%で、その他は従業員持株制度が所有している。
この巨大な株主である、労働組合を通じての従業員持株制度が、資金的にも人的構成でもどのような制度で、株主として経営にどのように介入しているについては明らかではない。従業員持株制度についてふれられているのは、Annual Reportでこの箇所のみである。
さらに、ZTEの箇所でも指摘したように、Huaweiについても同様に共産党と企業内共産党委員会についての記述は無い。中国政府との具体的な関係についても詳しい記述は無い。以前から指摘されている、任正非とその出身中国人民解放軍との関係、早期の段階での政府からの資金面での支援等についても十分に明らかにされていない。
表の財務データからは負債の額が非常に多いことが確認できるが、それが誰あるいはどの組織によるものかはわからない。上場していないので、成長と投資に必要な資金をどこから得ているのか、最大の株主の組合であるとすれば、組合がそれをどこから得ているかを示すべきである。
ZTEとHuaweiは、この分野での急速な発展が両社の発展の原動力となっている。当面の最も重要なインフラストラクチャとなる移動通信分野で、中国政府の強い影響下にある両社の技術に依存し安全保障上の問題が生まれることを、先進各国は強く警戒している。
3 ZTEとHuaweiに対する日本の対応
米豪などのZTEとHuaweiに対する明確な対応に比較して、日本の政府や企業の対応は曖昧である。日米間の貿易戦争の過程で、日本はアメリカの一国主義に対してグローバリズムを主張している。確かにそれは、TPPを推進してきた日本の立場の主な戦略であることは疑いない。
しかし、日本企業は、これまでに特に中国政府・企業による、経営資源の移転への政治的な圧力、中国への投資に関しての様々な制限、知的所有権の侵害などの攻撃を受けてきた。そのような経緯を背景に、ようやく米豪などの主張に倣おうとしている。
(論文掲載時点に比較して、日本政府の対応は前進している)
さらに詳しくは、ZTEとHUAWEIの事業活動とその脅威(最新中国企業分析(2))【論文】(クリックしてください)をご参照ください。
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