米中の貿易戦争は激しさを増している。この戦争は、一面ではアメリカによる一国主義とグローバリズムの対立であるが、他面ではアメリカと中国の覇権争いのようにみえる。後者についてもう少し厳密に説明すると、グローバルな企業間競争において、中国政府とその強い影響下にある企業が、国内では自国の市場を閉鎖しながら、先進各国の市場に急速に浸透していることによる、中国政府・企業と先進各国政府・企業との対立である。対立は特に第5世代移動通信システムをはじめとする最先端産業で激しさを増している。
1 ZTEとHuaweiをめぐる最近の動き
日本経済新聞、2018/8/14によれば、「トランプ米大統領は(2018年8月)13日、2019会計年度(18年10月~19年9月)の国防予算の大枠を決める国防権限法に署名し、同法が成立した。・・・同法には、中国政府による米国でのスパイ活動に利用されている中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE)華為技術(ファーウェイ)との契約を米政府に禁じる規定を入れた。」
アメリカでは、このような動きはかなり以前からあった。2012年に、アメリカ合衆国下院が提出した報告書”Investigative Report on the U.S. National Security Issues Posed by Chinese Telecommunications Companies Huawei and ZTE”は、様々な問題を提起し、ZTEとHuaweiに回答を求めている。
報告書はZTEとHuaweiに対して、それぞれの企業と中国政府、共産党、企業内党委員会との関係を説明すことを求めたが、両社は明らかにすることができなかったと結論づけている。この中国企業における共産党支配の問題は、中国企業全般に共通する問題であるが、両社が次世代のインフラストラクチャや防衛産業で果たしている役割から、特に先進国にとっては脅威となっている。
2 ZTEとHuaweiについて
クリックして拡大してご覧ください、以下も同様です |
Nikkei Asian Review |
ZTEは、次に検討するHuaweiとは異なって、その株主が示しているように、明確に政府の影響を強く受ける企業である。
アメリカ議会報告書が明らかにしたもうひとつの重要な問題点である、共産党の企業内委員会の問題はこの資料からは明らかにはならない。Annual Reportにも共産党に関する記述は無い。
第2節のHuawei (Huawei Technologies Co., Ltd., 华为技术有限公司)に関する部分と、第3節は、次のブログに掲載する。
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