2019年12月6日金曜日

緑ヶ丘美術館 三代 徳田八十吉展

展覧会の案内 おもて
2019年の最後を飾るすばらしい展覧会に行くことができた。

生駒市の緑ヶ丘美術館で、(2019年)9⽉8⽇から12⽉22⽇まで<没後10年>⼈間国宝・三代德⽥⼋⼗吉展が開かれている。緑ヶ丘美術館・開館二周年を記念して開かれたということである。

展覧会では、以下の3つめの画像が示すように、⼈間国宝・三代德⽥⼋⼗吉の多数の作品が展示されている。
生駒市は人口が12万、大阪のベッドタウンとしては便利ではあるが比較的小さな都市で、このようなすばらしい展覧会が開かれるなんて本当に驚きである。

展覧会の案内 うら

「三代徳田⼋⼗吉⽒は、初代⼋⼗吉⽒を祖⽗に、⼆代が⽗という九⾕焼名⾨の家に育ち、⼦供の頃から伝統的な九⾕五彩の⾊絵に囲まれて育ってきました。・・・
時を経て、先代と違う独⾃の表現に⽬覚め、⾊と技法の研究から、ついに「彩釉」(さいゆう)を発案。絵ではない⾊釉の新しい表現を編み出しました。絵付け表現の九⾕焼に全く新しい⾊だけで表現する九⾕焼が発現しました。⽣前、三代⼋⼗吉⽒が「耀彩」(ようさい)と命名した作品が、その完成形です。
⼤胆なグラデーション、オーロラのような光、透き通る「⾊」の宇宙。類稀な情熱が⽣んだ光り輝く「耀彩」の世界。」(美術館Websiteから)

ずっと以前に、私も九谷を訪れ、お土産に九谷焼の絵付けされた湯飲みを買ったことがあった。三代徳田⼋⼗吉の作品はそれとは全く異なっているので、実際に見るのをとても楽しみにしていたが、やはり実物をみてあまりの美しさに圧倒されてしまった。

以下は、展覧された作品の一覧である。主な作品名を示しておこう。
左ページの左上の作品は、会場の入ってすぐの位置にある代表的な作品「耀三彩遊線文壺」、左ページ右上は「碧明耀彩花器」、左ページ3段目右は「彩釉鉢「輪華」」。
右ページ右の上段中央は「耀彩」、右ページ右上は「耀彩大皿「月輪」」中段右は「碧明耀彩曲文壺」である。
以上の代表的な6作品は、いずれも以下で紹介する美術館のカレンダーに掲載されている。

作品一覧、展覧会パンフレットから

















展覧会パンフレット・表紙

以上の作品群はどのようにして創造されたのか?展覧会パンフレットには次のように書かれている。

「通常の九谷焼の工程では、素地を成形し、素焼して施釉のあとに本焼き、それに呉須(下絵の染付)で絵柄の輪郭を描き、その上に厚く絵の具を乗せて、約800度で焼成します。
 しかし、三代八十吉は、絵付け焼成を約1050度という高温で行います。これは、より高温で焼き、ガラス化した釉の中に色彩、輝きを閉じ込めるため。そうして生まれたのが「耀彩(ようさい)」という独特の世界なのです。」(6ページ)
次年度カレンダー

こうしてできあがった三代徳田⼋⼗吉氏の世界を、ぜひ美術館に行かれて、作品にぐっと近づいてご覧いただきたいと思う。日本の中で連綿と受け継がれるブルー:青の世界が、三代徳田⼋⼗吉氏によって、また新たに切り開かれたのを見ることができる。

ちなみに、入場は無料、展覧会パンフレット、右のカレンダーも無料でいただける。まず、作品についての10分ほどのビデオも見ることができる。
さらに、同時にやはり人間国宝の陶芸家藤本能道氏、島岡達三氏の生誕100年記念特別展示まである。
遠くから来ていただいても十分に満足していただける内容だと思います。

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