2012年8月16日木曜日

DVD「東京裁判」を改めて見直す

昨日は終戦記念日。日本政府は、8月15日を「戦没者を追悼し平和を祈念する日」とし、全国戦没者追悼式を主催している。
この日に当たって、例年のように、DVD「東京裁判」が放映されている。私もすでにこのDVDについて、以前のBlogで以下のように記載したが、わかりにくい位置に置かれているので、改めて掲載し、東京裁判が正しく評価されることを期待したい。

 「7) 12月8日は日米開戦70周年 (2011年12月10日17:41)」
今年は日米開戦から70周年である。
開戦に至った経緯を明らかにする文献が次々と刊行されている。アメリカ側からも、従来の一方的な日本の戦争責任を問うような論調ではなく、開戦に至ったより公平で客観的な研究が発表されつつある。

ところで、戦争の結果として行われた極東国際軍事裁判(東京裁判)が、当時の国際法に基づかない裁判として、また、戦勝国が戦敗国を裁く裁判として、批判を受けているのは、周知の通りである。今、DVD「東京裁判」などを通じて、多くの人が極東国際軍事裁判について改めて考え直すことが必要なのでないかと思う。
ここでは、当時の被告人弁護団の活動についてふれておきたい。特に、ベン・ブルース・ブレイクニー(Ben Bruce Blakeney, 1908年-1963年3月4日)氏の活躍は、特筆すべきものであった。彼らの活躍は、アメリカの民主主義の強さを象徴している。

ブレークニー弁護人の弁護内容を、DVD「東京裁判」の字幕とナレーションで紹介しておこう。
「戦争は犯罪ではない。戦争に関し国際法の法規が存在していることは、戦争の合法性を示す証拠であります。戦争の開始、通告、戦闘方法、終結をきめる法規も、戦争自体が非合法なら全く無意味です。国際法は、国家利益の追及の為に行う戦争をこれまでに非合法と見做したことはない」
「歴史を振り返ってみても、戦争の計画、遂行が法廷において犯罪として裁かれた例はひとつもない。我々は、この裁判で新しい法律を打ち立てようとする検察側の抱負を承知している。しかし、そういう試みこそが新しくより高い法の実現を妨げるのではないか。“平和に対する罪”と名付けられた訴因は、故にすべて当法廷により却下されねばならない」
「国家の行為である戦争の個人責任を問うことは、法律的に誤りである。何故ならば、国際法は国家に対して適用されるものであり、個人に対してではない。個人に依る戦争行為という新しい犯罪をこの法廷が裁くのは誤りである。」「戦争での殺人は罪にならない。それは殺人罪ではない。戦争が合法的だからです。つまり合法的な人殺しなのです。殺人行為の正当化です。たとえ嫌悪すべき行為でも、犯罪としてその責任は問われなかったのです。」
「キッド提督の死が真珠湾攻撃による殺人罪になるならば、我々は、広島に原爆を投下した者の名を挙げることができる。投下を計画した参謀長の名も承知している。その国の元首の名前も我々は承知している。彼らは、殺人罪を意識していたか?してはいまい。我々もそう思う。それは彼らの戦闘行為が正義で、敵の行為が不正義だからではなく、戦争自体が犯罪ではないからです。何の罪科でいかなる証拠で戦争による殺人が違法なのか。原爆を投下した者がいる。この投下を計画し、その実行を命じ、これを黙認したものがいる。その人達が裁いている。」
                                             
70年が過ぎ、日米は新たな絆で結ばれようとしている。それを象徴しているのが、東日本大震災におけるアメリカ軍の貴重な援助活動である。

なお、東京裁判(極東軍事裁判)の資料については、国会図書館の詳しい説明がある。
また、関連する私のBlogには、『昭和天皇独白録』もある。

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2012年7月29日日曜日

2012年6月28日木曜日

IFSAM 2012が開催された、リムリックから

IFSAM 2012が、6月26日からアイルランドのリムリックで開催された。リムリックは、ヨーロッパのほぼ西の端、今まで開催されたパリやベルリンに比べるとかなり小さな都市である。冒頭の2つのKeynote Speechでは、発展途上国の理論的・実践的な役割が強調された。そう言えば、発展途上国からの参加者が非常に多いように思われる。アジアでは、中国からの団体の参加が目立つ。

ところで、ダブリンからリムリックには列車で来た。2時間の列車の旅のすべてで、緑に覆われた一面の牧草地が広がり、牛、羊、馬が無心に草を食む本当に美しい田園風景が見られた。この風景は、ヨーロッパのどこにでも、一歩都市を離れると見られる風景である。残念ながら、日本ではなかなか見られない。

ところで、このような世界的な学会がますます発展し、研究成果の交流が世界的な規模で行われることを期待したい。また、日本人の国際学会への出席が多くなり、日本での研究成果が世界に届けられることを期待したい。さて、私の報告は29日の予定である。どのような質問やコメントが出るか楽しみである。

なお、この大会での報告は、私の著書(2012)の第6章:Business Alliances between Japanese and Taiwanese Companiesとなっています。ご参照いただけましたら幸いです。

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2012年4月11日水曜日

奈良公園の桜

日本の最も美しい季節、桜の満開の季節がやってきました。
奈良公園の桜もそろそろ満開、一部は散り始めています。今日は雨なので、散るのも早くなるかもしれません。今日は、日本の桜を見るために、いつもより外国人観光客が多かったようです。
(Blogの背景は、奈良公園ではなく、生駒山を背景にした桜です)



向こうに若草山と公園一帯を望みながら咲いています











桜と緑が見事にコントラスト、そのうちに奈良公園も緑一色に












そろそろ一部は散り始めています











(2012.4.12追記)
100周年を迎えたワシントンの桜祭りの桜はもう散ってしまったようです。
今年は、桜祭りの一環として、日本を代表する画家伊藤若冲の展覧会、Colorful Realm: Japanese Bird-and-Flower Paintings by Itō Jakuchū (1716–1800)が、National Gallery of Artで開かれています。

改訂版を作成しました。(2013.3.31) 奈良公園の桜、改訂版、Cherry blossoms in Nara Park

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2012年4月7日土曜日

シャープと台湾ホンハイの提携、Alliance between Sharp and Hon Hai


「シャープは3月27日、EMS(電子機器の受託製造サービス)で世界最大手の台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業と資本業務提携すると発表した。鴻海グループがシャープ株の約10%を取得し、事実上の筆頭株主となる。」(日経、「シャープ、国際分業で再建急ぐ 鴻海が筆頭株主に」、2012/3/27 23:30
シャープの側のねらいは明確であり、日本の各紙でも詳しく紹介されている。液晶パネルの価格が暴落し、経営が急速に悪化しているからである。ホンハイとの提携で液晶の安定的な供給が可能になる。

ホンハイは世界最大のEMS (Electronics Manufacturing Service, 電子機器の受託製造サービス)として、アップルへの供給をはじめ、時代をリードする製品を次々と世界市場に供給してきた。今や、ホンハイ抜きにして、最新の電子製品は語れない。
しかしながら、実はホンハイの経営もまた苦しい。売上高は台湾電子企業で圧倒的な規模を維持しているが、利益率は決して高くない。最近になってやや低下傾向も見られる。
また、最大の生産基地中国で、賃金の低さや労働条件の悪さが批判の的となり、今改善を進めざるを得なくなっている。これが実現されると、利益率はさらに低下する恐れもある。こうして、ホンハイも日本企業との提携による高度の技術の導入は、急を要する課題なのである。

この提携がどのような結果をもたらすかはまだ明らかではない。今後、シャープからの投資も行われ、相互投資の形態に発展する可能性もある。ホンハイ優位のみが結果となり、シャープのいっそうの衰退がもたらされる可能性も否定できない。
しかし、日本企業にとって台湾企業との提携は、それぞれの得意分野が異なること、などの理由で、国境を越えた提携としては、最も可能性のある提携のひとつであると思われる。したがって、日本企業は、この提携の先に新たな可能性を見つけ出す必要があるだろう。

このテーマについての、私の詳しい最新の研究は、以下をご参照ください。(英語版です、近日中にデータとして掲載します)なお、一部は以下のブログで、日本語で掲載しています。
日本と台湾の関係を広く検討した、私のブログは、本ブログの2012年1月17日をご参照ください。

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2012年3月27日火曜日

日本国際経済学会について


しばらく専門外の記事が中心だったので、少し私の専門に立ち戻ってみたい。

今年の5月に日本国際経済学会第2回春季大会が、10月に日本国際経済学会第71回全国大会が開かれる。
日本国際経済学会は、1950年に創立総会が開かれた、長い歴史と伝統のある学会である。
設立当初の時代は、日本の学会は、いわゆる近代経済学とマルクス経済学に分かれて設立されることが多かった。両者の立場も大きく異なっていた。しかし、日本国際経済学会は、設立当初から両方の立場の研究者が参加し、活発な議論が繰り広げられてきた。
その伝統は今も生きている。例えば、TPPに賛成する研究者も、反対する研究者も参加し、興味深い議論が展開されている。それが、この学会の強みとなっている。
各全国大会や各支部の研究会の、ほぼすべての報告のレジュメ、論文、PowerPointが掲載されているので、ぜひ参照していただきたい。私は、昨年までの約10年間、学会ホームページ(本部版と関西支部版)の作成を担当し、情報の広範囲な開示に努力してきた。なお、今年10月の全国大会のホーム・ページの作成は、私が担当している。
ところで、ギリシャやイタリアでは、金融危機の深刻化にともなって、意見の調整が困難な政党に代わって、研究者が政治の要職に就くという例が出てきた。日本でも、TPPや消費増税をめぐって、政党の議論は混迷を深めている。責任を持って政策を推進する政党が出てくることを期待したいが、ポピュリズム万能の時代には難しいかもしれない。その意味でも学会の役割は非常に大きくなっている。
これからは、学会が、現実的な政策に議論の中心を置くだけではなく、メンバー以外の人々の参加を容易にするような運営が必要だと思う。

3月28日の補足
今日、マリオ・モンティイタリア首相の特別講演会が開かれた。非常に興味深い、日本にとっても重要な内容だった。
講演会のホーム・ページUstreamでの講演内容新聞記事

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2012年3月4日日曜日

「『特攻―空母バンカーヒルと二人のカミカゼ』(M.T.ケネディ著)より」、Maxwell Taylor Kennedy

You Tubeはさまざまな偶然の出会いをもたらしてくれる。
エレーヌ・グリモーの、heleneGrimaudTVもそうだったが、また新たな出会いがあった。『特攻―空母バンカーヒルと二人のカミカゼ』(M.T.ケネディ著)よりである。Maxwell Taylor Kennedyによる"Danger's Hour" (2008)の翻訳を紹介した動画である。

著者は、「本書は、一九四五年五月一一日、神風特攻隊の攻撃によって甚大な被害を受けたアメリカ海軍の航空母艦バンカーヒルの艦上で起きた出来事を描いたものである。」(プロローグ、p.11)
「日本軍の上層部が敗北を充分に認識した上で大勢の若者を神風特攻隊に任命したのは、絶望的な大義のために命を捧げた若者たちの倫理規範が、以後何千、何万年と、人々の自己犠牲精神をかき立て続けるであろうと考えてのことだった。彼らの最後の望みは、未来の日本人が特攻隊の精神を受け継いで、強い心を持ち、苦難に耐えてくれることだった。
現代を生きる私たちは、神風特攻隊という存在をただ理解できないと拒否するのではなく、人の心を強く引きつけ、尊ばれるような側面もあったということを理解しようと努めるべきではないだろうか。」(同、p.24)
第2次世界大戦が終了して70年近く経ち、ようやく戦争に対する客観的な評価が増加しつつある。アメリカを民主主義陣営の盟主とし、日本を独裁国家の代表とするという図式が確実に見直されている。あらゆる分野で、少しずつそのような作業が行われている。この著作も、そのような作品の一つである。ぜひとも多くの人に読んで欲しい本だと思う。
もちろん、著者の見解の一部には、日本へのよく見られる偏見が残っている。「日本人は個の生命は根本的に限られたものである・・・」(同、p.15)しかし、同時に著者は、「しかし、はっきりしているのは、神風特攻隊員のほとんどは、天皇のためなら喜んで死ぬという狂信者ではなかったということだ。」(同、p.19)とも言っている。

ところで、私は、自分自身の研究領域で、戦前の日本のコーポレート・ガバナンスがアメリカのコーポレート・ガバナンスと同様、市場中心型であると説明してきた。(『日米コーポレート・ガバナンスの歴史的展開』(2006))戦後長く日本を支配してきた、戦前日本の経済・企業は財閥中心であるという議論を具体的な資料を駆使して批判し、上記のような主張を展開した。
事実は、日本の市場経済と企業、そして民主主義がしだいに発展し、アメリカに脅威となったために、当時の条件の下では、戦争が不可避になったということである。