同書は、3部構成となっている。第1部 大規模な債務サイクルの原型、第2部 詳細なケーススタディー、第3部 48のケーススタディー。
同書は、長期的・大規模債務サイクルの原型のためのテンプレートを示そうという試みで、「過去に起こった48件の大規模な債務サイクルの考察に基づくもので、そのすべてのケースで、大国の実質国内総生産(GDP)が3%以上低下した (私はこれを不況と呼ぶ)。」(18、以下かっこ内はページ数)
同書は、3部構成となっている。第1部 大規模な債務サイクルの原型、第2部 詳細なケーススタディー、第3部 48のケーススタディー。
同書は、長期的・大規模債務サイクルの原型のためのテンプレートを示そうという試みで、「過去に起こった48件の大規模な債務サイクルの考察に基づくもので、そのすべてのケースで、大国の実質国内総生産(GDP)が3%以上低下した (私はこれを不況と呼ぶ)。」(18、以下かっこ内はページ数)
「2024年3月下旬、いくつかの指標で見るバブルの兆候は?(1)」で、しばしば取り上げられるバブルの指標を検討してきたが、これに対して重要な異なった見解を紹介したい。
「私たちは株式市場のバブルの中にいるのか?」と題するレイ・ダリオ氏の投稿である。彼は周知のように、ヘッジファンドであるブリッジウォーター創設者、CIO メンター、取締役会メンバーである。
(出所:2024/03/22 16:59, Are We in a Stock Market Bubble?https://www.linkedin.com/pulse/we-stock-market-bubble-ray-dalio-zpdre2/203.)
なお、レイ・ダリオ氏は『巨大債務危機を理解する』(Principles for Navigating Big Debt Crises)を著し、第1部 大規模な債務サイクルの原型、第2部 詳細なケーススタディー、第3部 48のケーススタディー、で長期的・大規模債務サイクルの原型のためのテンプレートを示そうという試みた。先ほどの投稿に戻ると、「私はバブル市場を次の要素が高度に組み合わさった市場と定義している。(1) 従来の価値の尺度に比べて価格が高い。(2) 持続不可能な状況。(3)市場が大幅に上昇したため、活気ある市場と受け取られているため、多くの新規で世間知らずの買い手が集まった。(4) 広範な強気の感情。(5) 購入の高い割合が借金で賄われている。(6) 値上がりに賭けるために行われた大量の先物や投機的購入。」
これらの基準を総合した、以下の図によれば、「これらの基準を使って米国株式市場を見てみると、最も株価が上昇しメディアの注目を集めた一部の株式市場でさえも、ひどいバブルであるようには見えない。市場全体は中程度(52パーセンタイル)にある。チャートに示されているように、これらのレベルは過去のバブルと一致しない。」
2021年12月末に、このブログに「強まるバブル懸念の指標とバブル研究の古典(1)」と「同(2)」を掲載した。2023年後半以降、アメリカの株式市場は、ChatGPT、さらにはGeminiと様々な生成AIの登場と利用の拡大を背景に急騰を続けている。同時に、現在の局面がバブルではないかとの懸念も拡がっている。以上について検討する指標を取り上げて、現在の状態を確認してみたい。
この指数を構成しているのは、2つめの図で示されている7つの構成要素である。現状は、市場のボラティリティを除けば、すべて「貪欲」以上である。
左の『もういちど読む 山川世界史用語事典』(2015年)(以下では「事典」)で「帝国主義」を調べてみた。まず、次のように書いている。「歴史上の膨張主義一般をさす場合もあるが、列強の間で19世紀以来顕著になり、第一次世界大戦に帰結した、その時代を特徴づける帝国の膨張主義およびその後の類似の現象と解するのがふつうである。」
「ふつうである」という用語で、この用語には様々な見解があることを示唆している。だがその後では、ホブソン、カウツキーの見解の後に、レーニンの見解が詳しく示され、今なおその見解を基調に帝国主義が考察される。事典の最後に、「19世紀末から第一次世界大戦までの帝国主義は「古典的」と呼ばれる。」と結んでいる。『もういちど読む 山川世界史』(2017年)(以下では「教科書」)でも帝国主義は、同じ時期の現象としていると思われる。
次に、この記述の問題点を指摘したい。第1に、帝国主義の説明を主にレーニンに求めている点である。レーニンは、帝国主義を高度に発達した資本主義の産物とした。だが、現実には反対に、レーニンが権力を掌握した、資本主義的発展が遅れたソ連、それを継承したロシアが、一貫して周辺の民族を支配・抑圧する体制を築いてきた。そして最も新しい事例は、周知のウクライナへの侵略である。またここでは詳しくは触れられないが、同じ社会主義国の中国の新疆とチベットなどに対する支配と抑圧も同様の行動だと言えるだろう。これらの事実から、他民族を支配・抑圧を持続的に可能にするのは、国家が独裁権力によって支配されている体制の下であることを強調しておきたい。
第2に、先進資本主義国による「帝国主義」についてである。上記書が主張しているように、19世紀末から第1次世界大戦までに、発達した資本主義国が世界を分割・支配したことは疑いない。しかし同時に、特にこの時期の経済的な領域については、各国の企業が海外に進出したことが最も重要な特徴である。その際の投資は直接投資と呼ばれるが、シーメンスやシンガーが代表的な事例とされる。直接投資の担い手は個別の企業であり、その最も重要な特質は、企業が持つ経営資源が受け入れ国に移転されることである。
直接投資は戦間期にも着実に増加し、戦後にはその役割を増大させつつ、今では直接投資について、「帝国主義」との批判はほとんど見られないし、むしろ発展途上国は競って受け入れを進めている。
従って、いわゆる帝国主義の時代の、先進資本主義国による海外進出は、一面では他民族に対する支配と抑圧であるが、同時に特に経済的な面では、被支配民族の側からすれば、経済発展のひとつの可能性を手に入れたことも否定できない。ただ、その初期には、投資額が小さく、産業的には偏在していたことは事実である。
では、これまでの議論を踏まえて、現時点で各時代を特徴付けるとすれば、まず、19世紀末から第一次世界大戦までについては、先進資本主義国による「いわゆる帝国主義の時代」とすべきだろう。それ以降現在までは、「先進資本主義国と、独裁体制による他民族支配をめざす中ロなどの帝国主義との、対決の時代」と特徴付けられるだろう。なお、戦間期はその過渡期になる。
以上のような点を明らかにした上で、レーニンの定義に依拠せずに、「帝国主義」を改めて定義し直し、世界史を現実にあわせて書き換える作業が早急に求められているように思われる。
(3つめの画像は、(左から)ピョートル大帝、プーチン大統領、スターリン、出所は、https://jp.wsj.com/articles/how-far-do-putins-imperial-ambitions-go-11656303861)
上の図は、ユーラシア・グループによる2020年から5年間の10大リスクをまとめたものである。 (写真は、ユーラシアグループから、https://www.eurasiagroup.net/services/japan)
この5年間の変遷から、以下のような点が指摘できる。
1)ユーラシアグループの10大リスクは、他の調査機関には見られない、グローバルな政治・経済・社会の諸課題に対して包括的な分析を行っている。
2)しかし、表外に指摘したように、調査が発表した後に、調査では予測した以上の深刻な結果が生まれた。最近の主なものは、ロシアのウクライナ侵略と、ガザでの戦争である。それは予測がいかに困難かを改めて示している。
3)各年の変化を明らかにするために、同じテーマについては、各項目ごとに同じ色で、その変遷を示している。
4)今年最大のリスクはアメリカとされている。アメリカの分断については、比較的下位に位置していた昨年を除き一貫して上位で、分断は極めて根深く、早期に解消する見込みはなく、分断が国際的に与える影響も甚大である。その意味では、間違いなく重大ではあるが、次の課題に比べてその位置が妥当か、議論が分かれる。
5)ロシア、中国、ならず者国家問題が、2024年はやや後退している感がある。ロシアのウクライナ侵略が、「分割」として3位になり、ロシアが依存する中国が6位に後退した。ロシアと中国、そしてそれらと連携する国々が生み出す、政治的・軍事的・経済的な危機の深刻さは、昨年と比べても変わっていないと、私には思われる。
(ブログのTOP、ブログの目次、新保博彦のホームページ、新保博彦の(YouTube)チャンネル)
内容は以下の4つの論文から構成されています。
第1章 グローバル・サウスはグローバルな諸課題に対応できるか:グローバル・サウスを代表する9か国、(キーワード:グローバル・サウス、非同盟諸国会議(運動)、経済統合、発展途上国の累積債務問題)
第2章 インドはグローバル・サウスを導けるか?:インド企業の先進性と後進性、(キーワード:グローバル・サウス、財閥、コングロマリット、国有企業、外資系企業)
第3章 輸入代替工業化からモディ政権へ:戦略転換を終えたインドは自由化を推進できるか、(キーワード:輸入代替工業化、モディ政権、経済自由化、メイク・イン・インディア(Make in India)、ヒンドゥー至上主義)
第4章 BRICSという幻想:独裁国家ロシア・中国とその他の国の懸隔、(キーワード:BRICS、非同盟諸国会議(運動)、輸出志向工業化戦略、グローバル・サウス、宥和政策)