酒井抱一(1761年ー1829年)「桜と楓の屏風」
六曲一双の屏風で、右隻には桜、左隻には楓と、異なる時期の花が同時に咲くという非現実的な構図だが、それが特別な豪華さを生んでいる。
なお、この作品は、『もっと知りたい酒井抱一』には掲載されていない。
酒井抱一の作品でよく知られているのは、本番組でも紹介されている「夏秋草図屏風」である。屏風にはあまり使われていない銀地を用い、激しく揺れる草花で強い風の動きを表現している。
酒井抱一は、その弟子鈴木其一(代表作は「夏秋渓流図屏風」)とともに、その色彩の鮮やかさと豊かさで抜きんでている思う。
以下は、「江戸あばんぎゃるど」第2回に登場する作品である。
土佐光起(1617年ー1691年)「吉野桜図」
土佐光起は、他の画家よりは早い江戸初期に生きている。時期的には他の作品と比べてもかなり前の作品にもかかわらず、その魅力は衰えてはいない。
これも六曲一双の屏風であるが、濃い色に描かれた山々と木々、そして横に長く伸びている金色の雲の中に浮かぶ桜が、本当に空中に浮いて動いているかのように見える。番組では、それを3Dのようだと表現している。
柴田是真(1807年ー1891年)「鯉の滝登り図」
この作品は今まで見たことの無い掛け軸である。普通は描かない左上の部分に滝の先端部分を持ってきて、そこから流れ落ちる滝の激しさを強調している。
さらに、鯉が滝を登るなど現実にはあり得ない独創的なイメージが使われている。
柴田是真については、「別冊太陽 柴田是真」があるが、同書p.106には、よく似た構図で河鍋暁斎との合作が掲載されている。この書籍は柴田の漆芸と絵画の両方を掲載しているが、柴田是真の偉大な業績の全貌がよくわかる。
曾我蕭白(1730年ー1781年)「牛と牧童の図」
六曲一双の壮大な屏風で、右隻には激しくぶつかり合う牛と牧童、左隻には休む牛と笛を吹く牧童が、墨の濃淡のみで描かれている。近づいてよく見ると、牛の目はしっかりとこちらに向いている。
曾我蕭白については、この番組ではこの作品以外にもいくつか紹介されている。どれも大胆に描かれた独創的な作品ばかりで、海外で評価が高い。
なお、この作品は『もっと知りたい曾我蕭白』p.32-33ではないかと思われるが、その作品は、「牧童群牛図屏風」と名付けられ個人蔵となっている。
ここに紹介した作品は、2回の「江戸あばんぎゃるど」のごく一部である。ぜひ再放送して多くの人々に知っていただきたいが、それとともに貴重な作品群の詳細を掲載した本も出版されることを期待したい。
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