2021年12月27日月曜日

論文「中国の監視社会と監視カメラ・顔認証企業」を、私のHPに掲載しました。

新保博彦の政治・経済コラム(2021年11月15日掲載)から移動しました。2021.12.27) 

論文「中国の監視社会と監視カメラ・顔認証企業」を、私のHPに掲載しました。 目次は以下の通りです。

I 世界と中国の監視カメラ、2 中国の監視カメラ・顔認証企業、3 アメリカによる中国監視カメラ・顔認証企業への制裁、おわりに:監視社会化への対応

左の図は、「世界で最も監視されている20の都市–1,000人あたりのカメラ」で、最も監視されている都市は、中国の太原(山西省)で、10位以内に中国は8都市、中国以外は、ロンドンとインドのインドール。20都市を見ると、中国は16。これらの事実から、中国は、最も監視カメラによって監視されている社会であることがわかる。

中国は世界で人々を最も監視している社会であるが、同時に監視するための監視カメラを生産している企業が最も成長している国でもある。世界の「物理的セキュリティセクターで最も影響力のある」企業のランキングでは、中国企業は10位以内に4社、特に上位2社の杭州海康威视数字技术股份有限公司(Hangzhou Hikvision Digital Technology Co., Ltd.)浙江大华技术股份有限公司(Zhejiang Dahua Technology Co.,Ltd.)は、他社を引き離している。
また、中国では監視カメラで用いる顔認証技術も発展していて、上海商汤智能科技有限公司(SenseTime)北京旷视科技有限公司(Beijing Kuangshi Technology Co., Ltd. (Megvii))上海依图网络科技有限公司(YITU Tech)が代表的な企業である。科大讯飞股份有限公司(iFLYTEK Corporation)は、人工知能全般を事業とする企業である。
第2節では、これらの企業の現状を詳しく検討した。

中国全体の監視社会化を支えているのは、中国の監視カメラ製造企業や顔認識企業であることは言うまでも無い。これらの企業の技術を用いて、中国が監視社会化を徹底して実施しようと試みているのが、新疆ウイグル自治区においてである。それは、21世紀のジェノサイドと呼ぶことができる。

こうした事態を受けて、アメリカ政府は、中国の監視カメラ製造企業や顔認証企業に制裁を科している。「エンティティー・リスト(EL)」には、上記の多くの中国企業が対象になっている。さらに、アメリカ政府によって、これらの企業の一部を含む59の中国企業への証券投資が禁止された。

中国での監視社会化の進展、少数民族への弾圧への適用などに対して、アメリカ以外でも先進各国ではその危険性への批判が高まり、監視社会化を制止しようという動きが高まりつつある。欧州連合(EU)は人工知能(AI)の利用を制限する包括的な規制案を公表した。最も厳しい「禁止」は、すでに中国では一般的になっている、政府が個人の「格付け」にAIを用いることなどが対象となる。

なお、私の論文は以下に掲載しています。2021年の論文
中国社会と企業の最近の動向をまとめた『論文集 超管理社会をめざす中国と中国企業』は、以下に掲載しています。新保博彦の日本語版Website TOPページ


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