DVDの内容を改めて詳しく紹介するつもりだが、そのブログで欠けていたDVDそのものの基本情報をあらかじめ簡単に紹介したい。DVDに付属しているしているリーフレット(ここをクリック)である。リーフレットは、「解説」「裁かれる日本の十七年八ケ月」「法廷を構成した人たち」から成っている。
上記の私のブログは、裁判で最も注目すべき一人のブレークニー弁護人の弁護内容を、DVD「東京裁判」の字幕とナレーションに基づいて紹介したものである。もう一度以下に掲載したい。
『戦争裁判余録』から |
ブレークニー弁護人の弁護内容を、DVD「東京裁判」の字幕とナレーションで紹介しておこう。
「戦争は犯罪ではない。戦争に関し国際法の法規が存在していることは、戦争の合法性を示す証拠であります。戦争の開始、通告、戦闘方法、終結をきめる法規も、戦争自体が非合法なら全く無意味です。国際法は、国家利益の追及の為に行う戦争をこれまでに非合法と見做したことはない」
「歴史を振り返ってみても、戦争の計画、遂行が法廷において犯罪として裁かれた例はひとつもない。我々は、この裁判で新しい法律を打ち立てようとする検察側の抱負を承知している。しかし、そういう試みこそが新しくより高い法の実現を妨げるのではないか。“平和に対する罪”と名付けられた訴因は、故にすべて当法廷により却下されねばならない」
「国家の行為である戦争の個人責任を問うことは、法律的に誤りである。何故ならば、国際法は国家に対して適用されるものであり、個人に対してではない。個人に依る戦争行為という新しい犯罪をこの法廷が裁くのは誤りである。」「戦争での殺人は罪にならない。それは殺人罪ではない。戦争が合法的だからです。つまり合法的な人殺しなのです。殺人行為の正当化です。たとえ嫌悪すべき行為でも、犯罪としてその責任は問われなかったのです。」
「キッド提督の死が真珠湾攻撃による殺人罪になるならば、我々は、広島に原爆を投下した者の名を挙げることができる。投下を計画した参謀長の名も承知している。その国の元首の名前も我々は承知している。彼らは、殺人罪を意識していたか?してはいまい。我々もそう思う。それは彼らの戦闘行為が正義で、敵の行為が不正義だからではなく、戦争自体が犯罪ではないからです。何の罪科でいかなる証拠で戦争による殺人が違法なのか。原爆を投下した者がいる。この投下を計画し、その実行を命じ、それを黙認したものがいる。その人達が裁いている。」
(上記DVDの「前編 47.弁護側補足動議 ファーネス、ブレークニー両弁護人」から)
なお、ファーネス弁護人は、ブレークニー弁護人の発言に先立って、「真に公正な裁判を行うのならば、戦争に関係の無い中立国の代表によって行われるべきで、勝者による敗者の裁判は決して公正ではありえない。」と簡潔明瞭に述べている。
ブレークニー、ファーネス両氏については、豊田隈雄著『戦争裁判余録』(泰生社、1986年)に、「学究ブレークニー、天城山に死す」「芝居好きのファーネス」として紹介されている。あわせて参照していただきたい。ここに掲載した両氏に写真は同書から転載させていただいた。
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