YouTubeでの新保博彦のチャンネルを開設しました。再訪問(2023.5.2)した西芳寺の動画「禅と苔の寺 西芳寺 Saihoji」を公開中です。
日本には苔が美しい庭がどこにもある。そこに注目した、烏賀陽 百合 (著), 野口 さとこ (写真)『美しい苔の庭ー京都の庭園デザイナーがめぐる』(エクスナレッジ、2021年)を紹介したい。以下は、同書が掲載した、いくつかの代表的な庭園である。
まず、この本に最初に紹介されているのが、円通院(宮城県宮城郡松島町)、臨済宗妙心寺派の寺院。(本文4-5ページの写真、以下括弧内の数字は該当ページ)
「境内にある四つの庭の一つ、西洋式のバラ園「白華峰西洋の庭」にちなんだバラ寺の名称で親しまれてきたが、近年は苔寺としても知られている。」(96)
この書籍は、地方の寺院にも注目している。
そして、苔寺として知られ、百二十種を超える苔が境内一面を覆っている西芳寺、臨済宗単立寺院。
「西芳寺の庭は山の上の枯山水庭園と、下の池泉回遊式庭園の二つに分けられる。今では苔寺として有名だが、当時は白砂の庭だった。・・・夢窓国師が目指した「極楽浄土」の世界は、何百年もの間に苔むしたことで完成された。」(14-5,16)
「一九七〇年に作庭された「曲水の庭」は、平安貴族が和歌を詠んで楽しんだ 「曲水の宴」を表現した庭。枯山水の庭と水の流れを融合させた、ユニークな禅の庭だ。・・・ この水を庭に流すという斬新なアイデアによって「水音が聞こえる枯山「水」という新しいスタイルの庭が完成した。」(105,107)
風景を見るときに、音は欠かせない。海と波の音、森と風の音などなど。
瑠璃光院(京都市左京区)、浄土真宗東本願寺派の寺院。
上の3つの寺院はすべて臨済宗、禅寺の庭。瑠璃光院は浄土真宗だが、寺での写経などの宗教活動と、美しい寺を眺めることが一体となっていると言う点では同じ。
「瑠璃の庭を臨む書院二階の「机もみじ」が有名。鏡のように写経机に反射するもみじの光景は幻想的。」(50)右の画像は2枚、それぞれの上段が庭、下段が机に写っている庭。
「瑠璃とはラピスラズリのこと。年に数回、苔の露が朝陽で照らされ、瑠璃色に輝くことがあるそうだ。その景色がまるで「瑠璃の浄土」の様に美しいことから、この名が付けられた。」(46)
アマン京都
以上すべてが寺院の庭だったが、最後はホテルの庭。ホテルでは景観とともに庭がとても大切なおもてなしになっている。アマンは世界的なラグジュアリーホテルチェーンで、アマン京都は日本にあるそのうちのひとつ。
「国内では3軒目となるアマンのホテルで、2019年に開業した。設計は、ケリー・ヒル アーキテクツ。山を含めると約32万平方メートルという広大な敷地を有し、庭園は前オーナーの西陣織の機屋が織物美術館の建設を目指して、半世紀以上かけて作り上げてきた庭園を造園会社と共に引き継いだ。」(148, 153)
この書籍は、本文158ページ。見開き2ページのものも含め多数の美しい写真が掲載されて、1,600円。ぜひ多くの方に見てほしい本である。
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