台湾総統選挙で国民党の馬候補が勝利した。これで、誰もが予想しているように、中国との経済的な関係はいっそう深まるだろう。
また、この結果は、1996年以降の台湾の民主主義が一段と定着していることも示した。
同時に、中国の関係が深まる事への危惧、台湾国内での貧富の格差が拡大しているとの批判が非常に根強いことも明らかになった。
ところで、台湾と日本との関係は急速に強まっている。台湾における日本ブームは広がっている。東日本大地震への台湾の支援は、交流協会に依ると、以下の通りである。(紹介箇所は一部)
「3.資金援助
(1)台湾当局からの資金援助、3月12日、外交部、1億台湾ドルの資金供与を表明。
(2)台湾官民の義捐金
(イ)交流協会在外事務所での義捐金受付
3月21日より、交流協会台北・高雄事務所において義捐金を受付開始。9月9日現在、約11億円(詳細は台北、高雄事務所ホームページ参照)
(ロ)台湾官民からの義捐金
外交部によると、外交 部等の機関と 民間団体を合わせた義捐金は、9月16日現在、66億6,553万台湾ドル(上記(1)及び(2)(イ)の額を含む、1台湾ドルを2.7円で換算すると約180億円)」
これに対する、日本の人々の感謝は、以下のような形でも行われている。
支援に感謝、台湾まで泳いで横断 福島出身の大学生スイマーら、2011/9/3 13:27日本経済新聞 電子版
「東日本大震災後、台湾から日本に寄せられた支援への謝意を伝えようと、福島県相馬市出身の大学生スイマーらが17日から2日かけて日台間を泳いで横断する。岩手・宮城両県知事の感謝メッセージを台湾側に渡す計画で、台湾側もサポートする。メンバーは「みんなで挑戦する姿勢、あきらめない気持ちも伝えたい」と話している。」
ところで、私は台湾企業と日本企業の連携の動きについて、Business Alliances between Japanese and Taiwanese Companiesと言う英文論文を作成し、Annual Research Bulletin of Osaka Sangyo Universityに投稿し、これからいくつかの学会に報告したいと思っている。近く刊行される予定なので、上記のサイトでご参照ください。
一部を日本語原文で紹介したい。
「このような情勢で、Hon Hai Precision IndustryのTerry Gou氏は、日台企業連合の可能性について、次のように述べている。「1)それぞれの長所を活かせること。日本企業の長所は培った技術と真面目さ、台湾企業のそれは高いフレキシビリティである。(2)知的財産権を尊重すること。我々は決してコピーしないし、ロイヤリティも必ず払う。鴻海もたくさんの知財を保有している。(3)正直で信用を重んじるなど、双方の文化が近いこと。(4)日本企業はブランドを持ち、我々は持たないこと。」(http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20110614/192553/)
この発言をふまえて、日台企業連合の可能性をまとめてみよう。1) 日本企業は長い歴史の中で世界的なブランドを確立している。一方、台湾企業はファウンドリーやファブレス、EMSなど、日本の企業とは異なるビジネスモデルを確立し発展したが、その中には、ブランドを持たない場合も少なくない。その意味で、相互補完関係を築くことができる、2) 日台にとって中国がともに大きな役割を果たしているが、台湾企業はすでに中国に強固な基盤を築いている。日本企業にとって社会主義中国への進出は、大きなリスク、いわゆるチャイナリスクを伴う。その点で、台湾は日本が中国に進出する橋頭堡になりうる。3) 日本と台湾とは歴史的に見て良好で緊密な関係、また、それを土台にして、双方で深く根付いた市場経済と企業活動を築いている。」
(ブログのTOP、ブログの目次, 新保博彦のホームページ)
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