エレーヌ・グリモーの、heleneGrimaudTVもそうだったが、また新たな出会いがあった。「『特攻―空母バンカーヒルと二人のカミカゼ』(M.T.ケネディ著)より」である。Maxwell Taylor Kennedyによる"Danger's Hour" (2008)の翻訳を紹介した動画である。
著者は、「本書は、一九四五年五月一一日、神風特攻隊の攻撃によって甚大な被害を受けたアメリカ海軍の航空母艦バンカーヒルの艦上で起きた出来事を描いたものである。」(プロローグ、p.11)
「日本軍の上層部が敗北を充分に認識した上で大勢の若者を神風特攻隊に任命したのは、絶望的な大義のために命を捧げた若者たちの倫理規範が、以後何千、何万年と、人々の自己犠牲精神をかき立て続けるであろうと考えてのことだった。彼らの最後の望みは、未来の日本人が特攻隊の精神を受け継いで、強い心を持ち、苦難に耐えてくれることだった。
現代を生きる私たちは、神風特攻隊という存在をただ理解できないと拒否するのではなく、人の心を強く引きつけ、尊ばれるような側面もあったということを理解しようと努めるべきではないだろうか。」(同、p.24)
第2次世界大戦が終了して70年近く経ち、ようやく戦争に対する客観的な評価が増加しつつある。アメリカを民主主義陣営の盟主とし、日本を独裁国家の代表とするという図式が確実に見直されている。あらゆる分野で、少しずつそのような作業が行われている。この著作も、そのような作品の一つである。ぜひとも多くの人に読んで欲しい本だと思う。
もちろん、著者の見解の一部には、日本へのよく見られる偏見が残っている。「日本人は個の生命は根本的に限られたものである・・・」(同、p.15)しかし、同時に著者は、「しかし、はっきりしているのは、神風特攻隊員のほとんどは、天皇のためなら喜んで死ぬという狂信者ではなかったということだ。」(同、p.19)とも言っている。
ところで、私は、自分自身の研究領域で、戦前の日本のコーポレート・ガバナンスがアメリカのコーポレート・ガバナンスと同様、市場中心型であると説明してきた。(『日米コーポレート・ガバナンスの歴史的展開』(2006))戦後長く日本を支配してきた、戦前日本の経済・企業は財閥中心であるという議論を具体的な資料を駆使して批判し、上記のような主張を展開した。
事実は、日本の市場経済と企業、そして民主主義がしだいに発展し、アメリカに脅威となったために、当時の条件の下では、戦争が不可避になったということである。
ところで、You Tubeが紹介している本は、「特攻 空母バンカーヒルと二人のカミカゼ-米軍兵士が見た沖縄特攻戦の真実」(ハート出版、2010年)である。
(ブログのTOP、ブログの目次, 新保博彦のホームページ)
0 件のコメント:
コメントを投稿