2012年9月7日金曜日

日系ホテルの海外戦略:ホテルオークラアムステルダム

たまたまあるツアーに参加して、オランダのホテルオークラアムステルダムに泊まることができた。海外に出て、日系ホテルに泊まったのははじめての経験で、さまざまなことを考える機会を得た。
このホテルは、ホテル自体が五つ星であるだけではなく、フランス料理レストラン「シエルブルー」が2つ星、和食堂「山里」が1つ星、「セールレストラン」が「Big Gourmand」に格付けされているそうである。山里で夕食をとったが、月曜日の夜にもかかわらずなんと満席。来客は圧倒的に現地の人が多いそうである。ヨーロッパでの寿司の人気はすごいようだが、ここでも多くの人が、ほぼ日本の寿司と変わらない寿司を食べている。
また、ホテル滞在中には、コンシェルジュの粋な計らいもあった。24時間制となっている貸し自転車を、時間が限られていると言ったところ、短時間を無料で貸してくれた。その他についてもこまやかな日本的なサービスが行き届いていて、本当に心地よい時間を過ごすことができた。

ところで、日系ホテルは、海外ホテルの進出で、国内で苦戦している。オークラも例外ではないらしい。しかし、オークラの有価証券報告書 (EDINET、ここで有価証券報告書を閲覧できます)のセグメント情報によれば、ホテルオークラアムステルダムは日本の売上高の540億円に対し、売上高が40億円にもなり、唯一情報を開示している重要なセグメントとなっている。日本の他のホテルをみても、これほど重要な海外部門はおそらく無いだろう。
今、電機・半導体産業をはじめいくつかの重要な産業が、特にアジア企業の発展や急速に進む円高に非常に苦戦している。このBlogでもシャープの苦闘とホンハイの提携を取り上げた。
このような事態に対応するには、上記の提携などさまざまな方法があるが、積極的に海外に展開することが、その重要な対策になるだろう。日本経済新聞によれば、円高を背景に海外企業のM&A(合併・買収)が増加している。この傾向はしばらく続くだろう。
ところで、日本のホテルの海外展開は、日本文化の海外展開ともなる重要な役割を担っている。それにともなって、日本的な食生活、日本的なサービスが広がれば、日本への国際的な理解もいちだんと深まるだろう。日本のホテルの海外展開に大いに期待したい。

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