ブレマー氏のユーラシア・グループによる2023年の10大リスクが発表された。最大のリスクは「ならず者国家ロシア」である。このブログでは、そのロシアを支える軍需企業を明らかにしたい。以下は、私の論文の簡単な紹介である。
私の論文は私のwebsite、ユーラシア・グループの10大リスクは、私の政治経済コラムを参照ください。
まず、世界の軍事費ランキングをSIPRI (Stockholm International Peace Research Institute)のデータで確認する。アメリカの圧倒的な優位はこの表からも明らかであるが、2021年には中国が急速にアメリカに迫っていることがわかる。
ロシアは、2021年には第5位であるが、2002年から2012年にかけては大幅な増加が見られるものの、2012年からは減少している。2021年には、2012年の世界第3位の地位を失っている。だが、輸出額で見ると、ロシアの地位は高い。『SIPRI 年鑑 2022』によると、「主な兵器貿易国 2017年~2021年」は、アメリカが39%で1位、ロシアは19%で2位である。
次に、SIPRIの武器製造および軍事サービス会社100社調査におけるロシア企業について検討する。最大のロシア軍需企業Rostec State Corporationは、左の表のUnited Aircraft Corp.、Russian Helicopters、United Engine Corp.、Uralvagonzavod などを傘下に持つ。
それ以外の軍需企業としては、ロシア艦船の80%を生産しているUnited Shipbuilding Corp.、ウクライナへのミサイル攻撃の主力のひとつとされる、空中発射の対地攻撃巡航ミサイル「Kh-101」などを生産しているTactical Missiles Corp.、やはりウクライナ攻撃に使われている防空ミサイル・システムS-400など生産するAlmaz-Anteyが有力である。
ところで、実はこれらの企業は、先進民主主義国の電子部品、半導体を多く使っている。イギリスのRoyal United Services Institute (RUSI)は、Silicon Lifeline: Western Electronics at the Heart of Russia's War Machineという報告書を公表した。報告書は、「巡航ミサイル、通信システム、電子戦複合体などを含む、ロシアの最新の軍事システムの27の構成要素と機能」を調査した。その結果について、報告書は「ウクライナで鹵獲またはウクライナに向けて発射されたロシアの軍事機器の技術的検査に基づいて、ロシアの数十億ドル規模の数十年にわたる軍事近代化プログラムが、米国、日本、台湾、韓国、スイス、オランダ、英国、フランス、ドイツで製造されたマイクロエレクトロニクスの広範な使用にどの程度依存してきたかを概説している。」具体的に明らかになった重要な事実のひとつを挙げると、以下の通りである。「RUSI は主に西側の製造業者から調達した独自の部品を450個確認し、そのうち少なくとも318個は米国企業から調達したものであった。」
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