奥村先生の略歴、学会活動、主な研究業績は以下の通りである。
略歴:1925年3月20日大阪市にて誕生、1947年9月大阪商科大学(現・大阪公立大学)卒業、1950年4月大阪市立大学経済研究所助手、講師(1954年)・助教授(1958年)を経て、1965年10月大阪市立大学経済研究所教授、大学院経済学研究科教授を兼任、1974年3月経済学博士(大阪市立大学)。
学会活動:国際経済学会理事(1972年10月)・同常任理事(1978年11月)、経済政策学会理事(1983年3月・93年5月)、EU学会理事(1984年11月)
主な研究業績[著書]1965年7月『寡占経済と経済成長一現代アメリカ資本主義の実証的研究』、東洋経済新報社、その他多数。
詳しくは、以下のpdfファイルをご参照ください。会の案内状、会の式次第(略歴その他を含む)
私にとっての奥村先生は、研究の基本的な姿勢を教えていただいた方である。ずいぶんと過去のことになるが、奥村先生が主宰されていた研究会で、同僚の中川信義先生が、報告を担当された奥村先生が電話帳のような分厚い資料を丹念に調べられている、と賞賛されていたことを思い出す。それは、確かUS Direct Investment Abroadと言うアメリカの直接投資の基本資料だった。この頃以降、私もこれをはじめとする関連資料を活用し、アメリカ内外の多国籍企業の分析を行った。そしてその方法を今も受け継いでいる。
もうひとつ、私にとって奥村先生の編著書で、今でも私が常に参照している文献がある。宮崎犀一・奥村茂次・森田桐郎編『近代国際経済要覧』(東京大学出版会、1981年)である。この文献は、近代から現在(出版時)までの経済史に関する数量的なデータを満載している。私はこの資料を出発点にし、様々な歴史的文献を調査し、戦間期以降の世界経済の構造と、企業活動の発展の歴史を明らかにしてきた。
以上のように、私の研究の基本的な方法や姿勢は、奥村先生から学んできたと言える。
最後に、奥村先生との個人的な思い出をひとつ記しておきたい。奥村先生の自宅と私の自宅は比較的近く、妻と二人で先生のお宅を訪問したことがあった。当時、先生は奥様とイタリア旅行を楽しまれていた。偲ぶ会で初めてお聞きしたのだが、先生ご夫妻は北イタリアに夏の時期の16年間通われていたそうである。そして、多くの写真や動画を見せていただいたが、先生は奥様のことを「ほら熊さんが歩いている」(失礼な!)と言われながら、お二人の楽しそうなイタリア生活の一部を見せてくださった。
晩年に東京に移られてから、先生にお会いする機会が無いまま、先生は亡くなられた。先生に私の最近の研究をご報告する機会も失ってしまった。今はただ、先生のご冥福をお祈りするばかりです。
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