2018年8月5日日曜日

『中国株二季報』でみる中国企業50社

私の私のWebsite、中国の代表的な企業50社について、『中国株二季報 2018年夏秋号』(DZHフィナンシャルリサーチ編)によってまとめた論文を掲載した。本ブログはその要約である。
なお、論文はここをクリックしていただいても読むことができます。

『中国株二季報』は2001年に創刊され、今では中国企業に投資する必須の文献のひとつとなっている。
最近激しさを増している、トランプ政権の対中貿易戦争を理解するためには、これらの文献によって、両国の経済を担っている代表的な企業の動向を捉えることが不可欠である。

その論文で取り上げた中国企業の50社は、4-Traders のChinaとHong Kongの株式時価総額順(2018年7月15日)の企業群に、『中国株二季報』に掲載された海外市場に上場している6社を追加した、時価総額順の上位50社である。

以下の表1は50社のうち上位10社のみを掲げている。中国最大の企業はインターネット通販の阿里巴巴集団控股有限公司(Alibaba Group Holding Ltd.)である。持株会社はもちろん、子会社のいくつかはタックス・ヘイブンのCayman Islandsで登録されていて、Cayman Islands企業として活動している。当然ながらその目的は節税や情報の秘匿であると思われる。
Alibabaの急激な発展を支えたのは、インターネット通販という新たな事業を確立したことであるが、何よりもそれを中国という巨大な市場で実現したことである。
Alibabaの事業は、CtoCのTaobao(淘宝網)、BtoCのTmall(天猫)が中核である。Alibabaの決済を担っているのは、新たに33%の株式を取得した 、Ant Financial Services(螞蟻金融服務集団)の傘下のAlipay(支付宝)である。SNSの新浪微博公司(Weibo Corp.)も傘下にある。
クリックすると拡大できます、次の図も同様です
Alibabaと並ぶ二強のもうひとつは、騰訊控股有限公司(Tencent Holdings Ltd.)である。Tencentは、対話アプリWeixin(微信、海外ではWeChat)やポータルサイトQQ.comを基盤にゲームやスマホ決済、動画配信などを展開している。
ところで、GoogleやFacebookは、世界で幅広く活動しているが、中国共産党政権はそれらの活動を認めていないため、その特殊な条件の下で、Tencentはその事業を急速に拡大している。TencentにおいてもAlibabaと同様に、個人情報を含むさまざまな情報は共産党政権が収集し監視している。監視は中国人と中国企業はもちろん、当然のことながら中国で生活する外国の個人、事業活動を行う外国企業にも及んでいる。それらの情報がどのように用いられているかは、今後中国国内だけではなく、世界の最も重要な問題のひとつとなるだろう。

上位10企業には、AlibabaとTencent以外では、金融・証券・保険の企業5社がずらりと並ぶ。中国工商銀行股份有限公司、中国建設銀行股份有限公司などである。それ以外では、石油・石炭の中国石油天然気股份有限公司、通信の中国移動有限公司が注目される。

次に中国企業にとっては非常に重要な各企業の筆頭株主について明らかにしてみたい。
その中で、最も共産党政権の強い影響下にあると思われるのが、中国の政府系ファンドとして有名な中国投資有限責任公司の傘下にある中央匯金投資有限責任公司が筆頭株主である4つの巨大銀行である。
これ以外に政府系企業は3社ある。
次に注目されるのは、中国特有の国有企業の支配である。国有企業だとみられる集団公司あるいは集団有限公司が筆頭株主になっている企業は17社ある。
以上をまとめると、共産党政権の影響力が強い企業を合計すると24社となる。中国・香港市場に上場し筆頭株主が示された論文が取り上げた41社の58.5%を占める。
その他では、一般の企業が親会社である企業(子会社)が7社、親会社が外国企業であるのは4社、個人や家族が所有しているいわゆる財閥企業は6社である。

論文の第2節は中国企業50社の産業構成を明らかにしている。最大の産業は金融・証券・保険で、第2位の産業が、IT・ソフトウエア産業である。後者の地位は、上記の通り急上昇しており、オールド・エコノミーとニュー・エコノミーとの競争がいちだんと活発になっている。
第3節は中国企業50社の財務情報を詳しく明らかにしているが、スペースの都合で、上位10社のみ掲載し、様々な興味深い事実を明らかにしているが、本ブログでは省略したい。論文を参照していただきたい。

このように、『中国株二季報』は、有力な中国企業を詳しく紹介している貴重な文献である。ぜひとも多くの方々が、この書を通じて、中国企業とその経済の理解を深めていただきたい。
また、あわせて前回のブログ「『米国会社四季報』でみるアメリカ企業100社」を読んでいただければ、アメリカ企業との比較もできる。



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