2020年4月11日土曜日

新型コロナウイルスへの挑戦:日本モデルとセルフ・ロックダウン


左は、日本経済新聞2020年4月10日(25面)に掲載された、「日本の死者数の増加ペースは米欧を下回っているが・・・」という図である。最も信頼できる数値として利用される、米ジョンズ・ホプキンス大の調査をもとに作成されている。
この図の最大の特色は、各国ごとの死者数の、日数毎の変化を図示していることである。この図から日本の位置は明らかになる。
確かに、緊急事態宣言が出されてから、日本でのオーバーシュート(患者の爆発的急増)の危険が高まっているが、あわせてこの図もよく理解しておく必要があると思う。
(注:この図は、日経電子版からpdfが作成できず、スキャナでコピーした。日経電子版の読者の皆さんは、電子版の利用には制約があることを忘れないように)

新型コロナ専門家有志の会
ところで、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議は、2020年4月1日の「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」で、次のように結論づけている。
「世界各国で、「ロックダウン」が講じられる中、市民の行動変容とクラスターの早期発見・早期対応に力点を置いた日本の取組(「日本モデル」)に世界の注目が集まっている。実際に、中国湖北省を発端とした第1波に対する対応としては、適切に対応してきたと考える。」
その上で、「我が国でも都市部を中心にクラスター感染が次々と発生し急速に感染の拡大がみられている。このため、政府・各自治体には今まで以上強い対応を求め」るとともに、「法律で義務化されていなくとも、3つの密が重なる場を徹底して避けるなど、社会を構成する一員として自分、そして社会を守るためにそれぞれが役割を果たしていこう。」(以上p.11-12)と結んでいる。
この様な試みは、新型コロナウイルス感染症に対する医学的な挑戦であるとともに、民主主義と市民の行動変容を基礎とするひとつの社会的な挑戦・実験でもある。

カズさんの最新作
その意味を、サッカー人三浦知良さんは、「⽇本の⼒を⾒せるとき」で、次のように見事に簡潔に書いている。
「すべての⾏動が制限されるわけでない緊急事態宣⾔は「緩い」という声がある。でもあれは、⽇本⼈の⼒を信じているからだと僕は信じたい。きつく強制しなくても、⼀⼈ひとりがモラルで動いてくれると信頼されたのだと受け⽌めたい。」
「戦争や災害で苦しいとき、隣の⼈へ⼿を差し伸べ助け合ってきた。暴動ではなく協調があった。⽇本にはそんな例がたくさんある。サッカーの現場でも⽬にしてきた、世界でも有数の⽣真⾯⽬さや規律。僕らは⾃分たちの⼒をもう少し信じていい。⽇本⼈はこういうとき、「やれるんだ」と。」
「都市封鎖をしなくても、被害を⼩さく⾷い⽌められた。やはり⽇本⼈は素晴らしい」と後に記憶されるように。⼒を発揮するなら今、僕もできることをする。ロックダウンをせずとも「セルフ・ロックダウン」でいくよ。」(日本経済新聞、2020年4月10日)

このブログに続いて、「『流行性感冒 「スペイン風邪」大流行の記録』(1922年)」を作成した。あわせてご参照ください。

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