書評『決定版 日中戦争』 を掲載しました。(2025.4.29)
書評(pdfファイルです。クリックしてご参照ください)
書評の「目次」
はじめに、1 第一章 日中戦争への道程:戸部良一、2 第二章 日中戦争の発端:戸部良一、3 第三章 上海戦と南京事件:庄司潤一郎、4 第六章 「傀儡」政権とは何か―汪精衛政権を中心に:川島真、5 第八章 日中戦争と日米交渉―事変の「解決」とは?:波多野澄雄(第七章も一部含む)、まとめ:本書の貢献と課題について
書評の「はじめに」
2006年から始まった日中歴史共同研究は、2010年に報告書が発表され、その役割を終えた。8年後の2018年に、共同研究の委員として参加していた、波多野澄雄、庄司潤一郎両氏らを中心に執筆されたのが、波多野澄雄、戸部良一、松元崇、庄司潤一郎、川島真共著『決定版 日中戦争』(新潮新書、2018/11/20)である。
本書は決定版と名付けられているとおり、日中戦争に関する様々な基本的な問題を整理し、執筆者を中心とする研究者の基本的な見解がわかりやすく整理され、多くの人々が『決定版 日中戦争』を通して、日中戦争を学ぶことができるようになっている。
私は、戦間期国際経済史、企業発展史を研究してきた立場から、この著作の意義と、あわせて検討を期待した課題を提起しながら、書評を試みたい。なお、この著作は新書ながら歴史的な事件の記述と評価が詳しく記述されおり、この書評はかなり本文を引用したため長くなっていることをご了解いただきたい。