2021年12月末に、このブログに「強まるバブル懸念の指標とバブル研究の古典(1)」と「同(2)」を掲載した。2023年後半以降、アメリカの株式市場は、ChatGPT、さらにはGeminiと様々な生成AIの登場と利用の拡大を背景に急騰を続けている。同時に、現在の局面がバブルではないかとの懸念も拡がっている。以上について検討する指標を取り上げて、現在の状態を確認してみたい。
この指数を構成しているのは、2つめの図で示されている7つの構成要素である。現状は、市場のボラティリティを除けば、すべて「貪欲」以上である。
次に、株価の割高・割安を測る指標として、最もよく知られた指数を見ておこう。まず、Shiller PE Ratio for the S&P 500である。この指数を考案したロバート・シラー教授は、ITバブルを警告したことでよく知られている。以下の図は、1871年以降のきわめて長い期間のデータでとても興味深い。この図によれば、1871年以降、この指数が最も高いのが、ITバブル期の約45で、2024年3月1日には35.76で、ITバブルの次に高く、その水準に近づいている。
(出所:https://www.gurufocus.com/economic_indicators/56/shiller-pe-ratio-for-the-sp-500)
もうひとつは、バフェット指数である。それは、株式市場の時価総額を名目国内総生産(GDP)で割った値である。以下の表は1950年から2024年第4四半期までの数値である。2000年のインターネットバブルの時期から100%をしばしば超えるようになり、一時216.0%となったが現在は165.7%とやはりかなり高い水準である。
(出所:https://www.advisorperspectives.com/dshort/updates/2024/03/05/buffett-valuation-indicator-february-2024)
以上のような検討から、現在のアメリカの株式市場の株価は、歴史的に見て極めて高い水準にあり、バブルの兆候と見なすこともできるだろう。ただし、バブルであると見なすことに対してはレイ・ダリオ氏などの有力な反論もある。この例は次のブログで取り上げたい。
バブルの状態であるかどうかについては今後も議論が続くと思われるが、ともあれ、内外の何らかの要因によって、市場が緩やかなあるいは激しい下落に転じる可能性は否定できない。当面の要因としては、アメリカ経済の後退が始まる、この間株式市場を牽引してきた企業の業績が期待を下回る、アメリカ市場を揺るがす突発的な政治的・経済的事件などが挙げられるだろう。
0 件のコメント:
コメントを投稿