「2024年3月下旬、いくつかの指標で見るバブルの兆候は?(1)」で、しばしば取り上げられるバブルの指標を検討してきたが、これに対して重要な異なった見解を紹介したい。
「私たちは株式市場のバブルの中にいるのか?」と題するレイ・ダリオ氏の投稿である。彼は周知のように、ヘッジファンドであるブリッジウォーター創設者、CIO メンター、取締役会メンバーである。
(出所:2024/03/22 16:59, Are We in a Stock Market Bubble?https://www.linkedin.com/pulse/we-stock-market-bubble-ray-dalio-zpdre2/203.)
なお、レイ・ダリオ氏は『巨大債務危機を理解する』(Principles for Navigating Big Debt Crises)を著し、第1部 大規模な債務サイクルの原型、第2部 詳細なケーススタディー、第3部 48のケーススタディー、で長期的・大規模債務サイクルの原型のためのテンプレートを示そうという試みた。この著作については、次のブログで簡単に紹介したい。
先ほどの投稿に戻ると、「私はバブル市場を次の要素が高度に組み合わさった市場と定義している。(1) 従来の価値の尺度に比べて価格が高い。(2) 持続不可能な状況。(3)市場が大幅に上昇したため、活気ある市場と受け取られているため、多くの新規で世間知らずの買い手が集まった。(4) 広範な強気の感情。(5) 購入の高い割合が借金で賄われている。(6) 値上がりに賭けるために行われた大量の先物や投機的購入。」
これらの基準を総合した、以下の図によれば、「これらの基準を使って米国株式市場を見てみると、最も株価が上昇しメディアの注目を集めた一部の株式市場でさえも、ひどいバブルであるようには見えない。市場全体は中程度(52パーセンタイル)にある。チャートに示されているように、これらのレベルは過去のバブルと一致しない。」
次にさらに詳しく上記の6つの項目について、過去のバブルとも対比しながら一覧にしたのが、次の表である。
ところで、この記事の中に掲載された、興味深いデータを紹介しよう。今日の NVIDIA とテックバブル時の CISCOを比較するという方法である。「現在、NVIDIAの2年先の PERは約27倍。これは、時価総額が約10倍に成⻑しているにもかかわらず、利益も大幅に増加しており、実際の注文により今後1〜2年にわたって成⻑が続くと予想されていることを反映している。テックバブルの時代に、シスコの2年間の予想PER は 100に達していた。市場は、現在見られるよりもはるかに投機的かつ⻑期的な成⻑を織り込んでいた。」
ただ、ここからわかるもうひとつの予想は、NVIDIAの利益が期待通りの結果に届かない場合である。その場合は、CISCOの動きに類似し、NVIDIAの株価が大幅に下落し、その影響が市場に拡がることが予想される。
0 件のコメント:
コメントを投稿